2016年10月24日

南シナ海情勢は奇々怪々なり

比大統領「漁民は数日で戻れる」 スカボロー礁で
2016年10月23日 22:32
 
【マニラ共同】フィリピンのドゥテルテ大統領は23日、南シナ海の同国の排他的経済水域内にありながら中国が実効支配し、フィリピン漁民が操業できなくなっているスカボロー礁(中国名・黄岩島)について「数日待てば(フィリピン人が同礁に)戻れるかもしれない」と述べた。具体的にどのような措置が取られるかなど詳細には言及しなかった。北部カガヤン州での演説で語った。
 ドゥテルテ氏は18~21日に中国を初めて公式訪問し、習近平国家主席と会談。演説では、中国から巨額の経済支援を取り付けたことを報告した上で「中国では、お互いをどう助け合えるかについて話してきた」と強調した。(共同通信)

今年の中国とフィリピンとの外交関係における大きな焦点は、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の判決後の両国関係でした。

しかし、ドゥテルテ大統領の登場によって、フィリピンは自ら中国に飲み込まれる道を歩んでいるかの感があります。

中国が、南シナ海の岩礁を突如実効支配し、勝手に埋め立て、人工島の周辺海域は歴史的にも中国の管轄権が及ぶとしております。それを不当だとしてフィリピンが常設仲裁裁判所に訴え、中国の権利は認めないという判決となりました(7/⒓)。

中国政府は同日、常設仲裁裁判所の判決に反論する「白書」を発表。

「今回の仲裁裁判所は合法的な国際法廷ではない、国連の国際司法裁判所とはいかなる関係もないことに注意してほしい」と発表しました。

注目されたのは、その後の中国のG20広州サミット(9/4~5)、ラオスのASEAN首脳会議(9/6~8)における各国の中国への対応、議長声明でしたが、ASEANの議長声明では、南シナ海問題に引き続き「深刻な懸念」を表明し、国際法に基づいた解決の重要性を確認しましたが、オランダ・ハーグの仲裁裁判所の7月の裁定には触れませんでした。

仲裁裁判の判決を余所に、9月初旬、中国は不穏な動きを見せております。

広州サミット開催直前の9月2日、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内のスカボロー礁にて、中国船による埋め立ての兆候がみられることが明らかになったのです。

以下、その記事です。

中国船、スカボロー礁で埋め立て徴候 資材運搬の船舶
【シンガポール=吉村英輝】フィリピンのドゥテルテ大統領は2日、南シナ海のスカボロー礁周辺で、中国による「構造物建設」の動きがあることを明らかにした。中国が荷船で資材を運搬しているとの報告を受けたという。埋め立てに向けた布石の可能性がある。滞在先の南部ダバオでの演説で述べた。
 同礁は、フィリピン北部ルソン島沖約200キロにあり、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内だが、中国が2012年から実効支配している。
 オランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月、同礁周辺で中国が行っているフィリピン漁船への妨害を不法と認定。ドゥテルテ氏は、中国との2国間協議で自国漁民の権利回復を求めていく姿勢だ。6日からラオスで始まる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議では「混乱は望まない」として、今回の中国船の動きは報告しないとした。(産経ニュース2016年9月3日)

そして昨日の報道です。これでは、埋め立ててもいいですが、漁業権は分かち合いましょうね、と、ドゥテルテ大統領自ら中国に進言したのと同じではないでしょうか。

専門家によれば、西沙諸島、南沙諸島を制した中国は、中沙諸島の埋め立てで、南シナ海の制海権、制空権を完成させることができる、といわれております。まさにスカボロー礁が中沙諸島にあたるのです。

今のアジア情勢を考えますと、辺野古移設反対、高江ヘリパッド建設反対などと叫んでいる場合ではありません。




Posted by タツロー at 19:32│Comments(0)
 
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